「みなさんよろしくね。」
 

 
   
  ハルちゃん手記
   
第1章 出会い
 

私はハル。もうこの世にはいないわ。天国から執筆してる。隣には旦那のジュピが小さい時に命を落した4女のジャミの面倒を見てる。わたしはとても幸せだったし、今でも幸せ。だって昔はそんなこと考えてもいなかったから。

私は、産まれて間もなく親と離れたわ。正式には離された。ハムスターは親離れが早い生き物だから。わたしも1商品になっていたわ。兄弟はどんどん買われていったわ。わたしも早く誰かに買われたかった。だって、ここにいるのが嫌だったから。狭いし、寝ている時間は明るいしうるさいし、餌はまずいし。しまいには触られるし。最低だったわ。


私の柄をもったハムは私が最後になってしまったわ。しまいには、新しく産まれたハム達が、わたしの住むケージに入れられてしまった。わたしは、戸惑ったわ。柄の違うハムと暮らさなければならなかったから。わたしは、もうどうでもいいと投げ出していたわ。お店の人がケージに手を入れる時に「お願い、私を買って!」って祈りながら。

そう祈る毎日。目が赤いということで、みんな他のハムを選んでいったわ。私は、目が赤いことを恨んだわ。わたしは、眠ることで目を黒くしようと思ったわ。きっと眠って起きた時には目が黒くなっていると。

そうあの日も眠っていたわ。他のハムに混じって丸くなって眠っていると、なにやらこちらを見ている視線を感じ、目を覚ましたの。薄目を開けて様子を伺っていたわ。男女2人でこちらの中を見て、喜んでいたの。きっと、眠っている私達を見て、可愛いと言っているのだろう。中を見て、そこを去っては戻ってきてまた中を見ている男。1度見たら他に行ってしまって戻ってこない女。男は、なにやら悩んでいたわ。きっと目が赤いから。他のハムも目が赤かったわ。

やがて男は、店員を呼び、私達のケージを指さしていた。店員はケージを開け、手を中に入れてくる。わたしは「お願い私を選んで」と半分諦めた気持ちで祈っていたわ。

店員の手は、見事に私を掴んだの。そして、ケージから出され、男の前に出されたわ。私は、喜びと驚きと焦りで慌てていた。店員からいろいろと話を聴いている。きっと目の事だわ。ここで戻されては、私の人生はここで終わると悟ったわ。諦めなかった。

私がケージに戻ることはなかった。そのまま小さな箱に入れられ、私はその男に買われた。しかし、そとは雨が降っていた。

(つづく)

 
   
ハルちゃんのお買い物日記
  「♪♪♪♪」
   
  私の心配事
 
  私はもう天国にいるの。でも、最後まで心残りだったのが、この「マー」。いつまでたっても子供で、シズの彼氏として買われてきたのに、シズも愛想尽かしちゃって。

今も天国からこうやってマーを見に来てるわ。でも、なにを語りかけても気がつかないの。当たり前よね。でも心配だわ〜。
   
 
  ハル『マー早く大人になりなさい!』
  マー『???』
 
 


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